「妖怪人間ベム、終わっちゃったね」
「ああ」
「南極大陸が終わり、妖怪人間ベムが終わり、君が好きだった2大ドラマが終わってしまって悲しい?」
「悲しくは無い。物事は終わりがあるから美しい」
「では、最終回はどう評価する?」
「評価は個人的には2種類の方法で出さねばならない」
「2種類?」
「以下の2つだ」
- 妖怪人間ミタに勝てたか
- ベムとして良い結末であったか
「最初の方はどう?」
「個人的には勝ったと思う。特に、死んだのか生きているのかはっきりしない結末はいい。見た後の想像が広がる。新しい家に家政婦として行ってしまうミタよりも広がりがある」
「個人的な感想?」
「そうだな。一般論としては違うかもしれない」
「じゃあ、2番目は?」
「良かったと思う。人助けのために、みんなの前で正体を自ら暴露してしまうなんて、いかにもベムらしい良い話じゃないか」
「そんなもの?」
「ベムは人間になりたいのに、自分で人間になる手段を潰してしまう。その矛盾っぷりがベムのベムらしさだろう」
「それで。最終的にベムベラベロは生きていたの?」
「実はそれが明確では無い。最後に登場する3人は、あまり写実的に描かれていない。空想上の『いたら良いと信じられた』ヒーローなのか、それとも作中の実在のヒーローなのかはっきりしない」
「それいいの?」
「良い。結局、ベムベラベロの実在性は最初から都市伝説のようなものなのだ」
「そこから出て、そしてそこに還ったわけだね」
「そうだ。実在と非実在の境界線上、都市伝説のような存在がベムベラベロだ」
「ミタと比較してどうなの?」
「ミタは存在が具体的でありすぎる」
「具体的だから受けると言う可能性は?」
「それはある」
「どっちが正しいの?」
「見た瞬間のインパクトは具体的である方が高いだろう」
「ミタ瞬間なんだね?」
「何か違う。まあともかく、直接的すぎる。もうちょっと奥行きが欲しいならベムの方が上……と思いたい」
「思いたいって、願望かよ」
「結局、ベムベラベロの実在性も願望なんだ」
「ぎゃふん」